譲渡所得の取得費 (購入金額不明の場合)
土地や建物を売買した場合です。
これを譲渡所得といいます。
原則的に、(特例等を使わない場合は)損失が出たときは申告は必要ありませんので、利益が出た場合を想定して書きますね。
「譲渡所得の金額は総収入金額から,その譲渡の基因となった資産の取得費とその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除した金額である。」という税法上の言い回しがあります。
要するに「売却金額−取得費−譲渡費用=譲渡益」ということです。
今回は「資産の取得費」に関してです。(譲渡費用についてはこちら)
「資産の取得費」とは,その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額となる。
なお,「取得に要した金額」とは,土地や建物の購入代金に購入手数料,購入に伴い支払った立退料,その他取得のために要した費用の額を加算した金額である。
ここで購入時の売買契約書等があれば客観的に取得費が証明出来るのでいいのですが、紛失しちゃった場合は頭を悩ませます。
このような場合、通常は概算取得費の特例(所法61、措置法31の4等)を用います。
この特例は、譲渡収入金額(売買金額)の5%相当額をその資産の取得費とする一種の救済措置です。
尚、この概算取得費の特例は購入金額が分かっていても選択して使用することが可能です。購入金額より売買金額の5%の方が取得費が大きかったというラッキーなケースです。
さて、今回売買した土地や建物の購入金額が不明の場合、他に何か方法がないか?
一応、存在はしております。ですが、100%これでOKというのは断言は出来ません。
折角見て頂いていますので、軽く下記に触れてみますね。
1.客観的な証拠を積み上げる方法
これは例えば、購入時の売買契約書は紛失したが、登記簿謄本を見たら「乙欄」に抵当権の登記があった。さらに当時の近隣の土地等の広告があり、当時の時価が分かる。公示価格等を参考にしたら当時の価格ともそんなに差違は無かった場合等です。
2.市街地価格指数による取得費の計算
これは取得費が不明の場合、とある指数から取得費を計算してしまう方法です。これが合理的であると認める裁決例もあります。
2020.1.12