譲渡費用の範囲
土地や建物を譲渡した場合の所得税の確定申告は、分離課税(譲渡所得)になります。
そしてこの譲渡所得の計算は、
総収入金額(売買金額等)−(取得費+譲渡費用)です。
これに、所有期間の長さ(5年超か以下か。取得日から譲渡年1/1までの所有期間です)により、
それぞれの所得税率(15%or30%)をかけます。
(更に復興特別所得税の2.1%、住民税(5%or9%)もあります)
さて、今回はこの譲渡費用の範囲について書きたいと思います。
譲渡費用とは、一口にいって、売るときに支出したものです。
まずは基本から、通達(所基通33-7)を分かりやすく分解します。
(1) 資産の譲渡に際して支出した仲介手数料、運搬費、登記若しくは登録に要する費用
その他当該譲渡のために直接要した費用
(2) 借家人等を立ち退かせるための立退料
土地(借地権を含む)を譲渡するためその土地の上にある建物等の取壊しに要した費用
既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で他に譲渡するため当該契約を解除したことに伴い支出する違約金その他当該資産の譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用 (注) 譲渡資産の修繕費、固定資産税その他その資産の維持又は管理に要した費用は、譲渡費用に含まれない。
通達にバッチリはまるものは譲渡費用にしましょう。その他の譲渡費用の例を考えてみます。
- 譲渡するために手付金を放棄した場合の手付金等(譲渡費用○)
- 印紙税で売主が負担したもの(譲渡費用○)
- 税理士への譲渡所得の確定申告報酬(譲渡費用×)
- 売買のための広告料(原則として譲渡費用○)
- 譲渡代金を払ってくれなかったので弁護士に依頼した弁護士費用(譲渡費用×)
- 土地等の測量費用(売買のための測量なら譲渡費用○)
- 抵当権の抹消登記費用(譲渡費用×)
- 借地権を譲渡した場合における、地主に支払う名義書換料(譲渡費用○)
- 家財道具等の廃棄費用(譲渡費用×)
- 譲渡物件のハウスクリーニング費用(譲渡費用×)
- 旅費(譲渡費用△)売買交渉のための旅費は原則OK
2019.12.20